かつてベネトンのセンセーショナルな広告シリーズを手掛けたオリビエーロ・トスカーニは「広告は私たちの微笑みかける死体」という書籍において、現代消費社会における広告のあり方を「知に対する犯罪」として根本から批判しました。

それから四半世紀以上が過ぎましたが、広告の目的はさほど変わっていません。

依然として広告は私たちに微笑みかけてきますが、それは死体ではなく機械となり、より洗練されて効率の良いデジタルな手法となっています。

そして今、もっともトレンドとなっているデジタル技術がAI生成です。

「広告は私たちに微笑みかける死体」オリビエーロ トスカーニ (著), 岡元 麻理恵 (翻訳) 紀伊國屋書店

この世に存在しないもの。しかし記号化された断片の集積としてそこに在るもの。

⁡アイキャッチとなっているビジュアルは、AI生成された「この世にはいない人物」です。フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」のオマージュというか引用です。

絵画もモデルがいたとしても、画家のイメージを反映する以上、当人そのものではありません。そうすると人間が描いた絵画と、人間がAIで生成した画像の価値を分けるものは何なのか。

AIを、生命という情報の断片化と集積と捉え、「記号化された身体という実体のないもの」を表現することで、逆説的に「生命とは何か」を問いかけるビジュアルは、SIGNS OF LIFE™のコンセプトに沿ったものとして相応しいと考えました。

オリビエーロ・トスカーニのベネトンへのささやかなオマージュを含めて「広告は私たちに微笑みかける機械 “Advertising is a machine that smiles on us”」と名付けて、AI生成による「モデルを採用」して、「広告的なるものを演じる広告」というメタ構造を持つビジュアルを展開しています。

この世に存在しないもの。しかし記号化された断片の集積としてそこに在るもの。

それはチープな偽物に過ぎないのか。

AI生成を単なる利便性だけではない、そういった「問い」として捉えたいと考えています。

このAI生成画像の「ワタシ可愛いけど、この世に存在しないのよ」という不気味さを感じられるところが気に入っています笑

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