SIGNS OF LIFE™ Reviveは、表現の新しい可能性を探求するSIGNS OF LIFE™のサブブランドとして注目を集めています。創設者に、ブランドのコンセプトや背景にあるインスピレーション、デザインプロセスなどについて話を伺いました。

忘れ去られたアイテムに新しい命を吹き込む

SIGNS OF LIFE™ Reviveを創設した背景にはどのようなインスピレーションがありますか?SIGNS OF LIFE™とはどのように異なりますか?

川名:SIGNS OF LIFE™ Reviveは、忘れ去られたアイテムに新しい命を吹き込むことを目的としています。

デッドストックや古着など、使用されることなく眠っていたアイテムをリメイクし、新しい価値を与えることで、持続可能なライフスタイルの可能性を探求しています。

SIGNS OF LIFE™との違いは、「復活」というコンセプトにあります。単に古いものを再利用するだけでなく、それらに新しい意味を与えることで、衣服そのものの物語を豊かにしています。

この着想にはアーティストのマルセル・デュシャンの「レディメイド」の影響があります。

レディメイドとは、日用品を美術作品として提示する手法で、既製の工業製品をそのまま、もしくは少し手を加えて作品とします。

既製品を本来の文脈から切り離すことで新たな意味を生み出すわけです。

レディメイドは20世紀美術に大きな影響を与え、既成概念に疑問を投げかける革新的な手法として、現代美術にも通じる重要な概念となっています。

その手法を衣服とデザインに応用しました。

過去と現在の間の架け橋

忘れ去られたアイテムに新しい意味を吹き込むというコンセプトについて詳しく教えてください。このプロセスはどのように進められますか?

川名:「Revive」というコンセプトは、忘れ去られたアイテムに新しい生命を吹き込むことに焦点を当てています。

まずデッドストックや古着を厳選し、それらのアイテムが持つ本質的な価値や美しさを再発見することから始まります。

次に、デザインチームがこれらのアイテムに現代的な解釈を加え、新しいデザインと意味を施します。

この過程で衣服は新しい命を得て、過去と現在の間の架け橋となりえるのです。

自然へ溶け込む「曖昧な」能力

SIGNS OF LIFE™ Reviveを代表するとされる”K”AMOUFLAGEシリーズの背景にあるインスピレーションは何ですか?なぜ迷彩柄を選んだのですか?

川名:“K”AMOUFLAGEシリーズのインスピレーションは、デッドストックの迷彩柄ジャケットから得られました。

迷彩柄はもともとは戦闘服としての機能を持っていましたが、このシリーズではその概念を再解釈し、自然にインスピレーションを得たデザインとして捉え直しています。

カモフラージュはファッションとして定着していて、一般的には「カモ」と呼ばれています。

ジャケットの背面に鴨のイラストをあしらうことで、迷彩柄の意味を戦闘服から、自然にインスピレーションを得たナチュラルなデザインに転換させるのは面白いのではないかと思いました。

他愛もない言葉遊びですが、言葉は我々が持つイメージと意味そのものを転換することができます。

迷彩柄の多様性と、それが持つ自然へ溶け込む「曖昧な」能力に焦点を当てることで、戦闘服としての意味を取り除き、純粋なパターンとしての美しさを前面に出しています。

このシリーズは、デッドストックに新しい意味と価値を与えるSIGNS OF LIFE™ Reviveのコンセプトを象徴していると言えるでしょう。

“K”AMOUFLAGEジャケットに対する反応は非常にポジティブ

顧客はSIGNS OF LIFE™ Reviveシリーズ、特に”K”AMOUFLAGEジャケットにどのような反応を示していますか?

川名:“K”AMOUFLAGEジャケットに対する顧客の反応は非常にポジティブです。

デッドストックを再利用し、それに新しい命を吹き込むというユニークなコンセプトが高く評価されています。

新しい解釈と、持続可能なファッションへの取り組みが、意識の高い顧客層から支持を受けています。

また、それぞれの衣服が持つストーリーと、それを通じて伝えられるメッセージに感銘を受ける顧客も多く、SNSを通じてその魅力を共有する動きも見られます。

SIGNS OF LIFE™ Reviveがファッションを超え、個々のアイテムが持つ背景や意味に価値を見出す顧客にとって、特別な存在となっていることに大きな喜びを感じます。

デザインプロセスにAIを利用したパターン生成

SIGNS OF LIFE™ Reviveから今後期待できるコレクションやシリーズはありますか?どのようなテーマや素材を探求していますか?

川名:SIGNS OF LIFE™ Reviveでは、AIを利用したパターン生成など最新テクノロジーがデザインプロセスに積極的に取り入れられています。

テクノロジーを活用することで、生産過程の効率化やコスト削減にも寄与し、持続可能なファッションの実現に向けた新たな道を開拓できると考えています。

テクノロジーの進化は、SIGNS OF LIFE™ Reviveの創造性と革新性をさらに高める重要な要素です。

ファッションを通じて、より良い社会の実現に貢献する

SIGNS OF LIFE™ Reviveの将来に対するビジョンは何ですか?今後数年でブランドはどのように進化していくと考えていますか?

川名:SIGNS OF LIFE™ Reviveは、ファッションを通じて、より良い社会の実現に貢献することにあります。

ブランドは、環境への影響を最小限に抑えながら、高品質で魅力的なライフスタイルを提供することを目指しています。

また、消費者とのコミュニケーションを深め、サステナビリティを含めたライフスタイルに対する意識の向上も重要な目標です。

SIGNS OF LIFE™ Reviveは、忘れられたアイテムに新しい命を吹き込むことで、ファッションの新しい可能性を切り開いています。彼らの取り組みは、ファッション業界の未来を形作る上で重要な役割を果たすでしょう。アーティストやデザイナーとのコラボレーション、テクノロジーの活用、そして消費者とのコミュニケーションを通じて、SIGNS OF LIFE™ Reviveは持続可能で魅力的なファッションの実現に向けて前進し続けています。この対話が提供した知見が、多くの読者にとって価値あるものとなることを願っています。未来への展望に対する彼の洞察は、私たち全員にとって重要なメッセージとなるでしょう。


川名 紀義

デザインディレクター/情報設計・編集。1977年東京生まれ。Publicis Groupe(仏)のヘルスケア・エージェンシーPHCGの日本法人パブシリス ライフ ブランズ メディカスにて、グローバルな医療用医薬品の広告とコミュニケーションにデザイナー、アートディレクターとして従事。2011年独立、株式会社ピージー(https://pgdc.jp)を設立。

グラフィックデザインの原義的な意味としての「図案と情報設計」、文化的な趣味に依存しない実用・実学としてのデザインをコンセプトに、省庁/大学/学会/NPO/医薬品/医療施設等の医療情報を専門としたデザインとクリエイティブコンサルティングを行う。

2023年パーキンソン症候群と診断。医療/デザインより一歩踏み込んで、生命や身体/記号と象徴、そして個人の「心」のバランスを主題としたSIGNS OF LIFE™を、AIとテクノロジーの時代のライフスタイルとして提案する。